Story of the Caribbean
「国際女性デー」

Date

「国際女性の日」でなく、「国際女性デー」と日本では一般的にいうのですね。

デーよりも「の日」の方がスマートではないでしょうか。デー?

内閣府男女共同参画局では「の日」が使われていますが、中国では「女王節」です。

カリブ海地域は女性の進出が目覚ましいと言われています。

歴史的に、カリブ海地域の女性は人口を増やす役割と男性と同等の労働力としての役割も担っていました。

旧英領カリブ海地域に限って言うと、専業主婦の人口割合は低いです。でも、いないわけではありません。専業主婦を良しとする傾向は特に植民地時代に労働をしなかった家系の子孫、要するに支配者層の子孫に受け継がれていました。支配者層の大半はヨーロッパ系の人々でしたので、現在もヨーロッパ系市民の年配の女性の中では、フルタイムで働いた経験がない方は多いです。が、21世紀のヨーロッパ系の若い女性はフルタイムで働きたいから、働いています。そして彼女たちのお母さんたちが「まあ今の世の中は大変ねぇ」と子育てを手伝っています。

そしてシリア・レバノン系のコミュニティには、女性がフルタイムで働くことは良しとしない、女・子どもは男が養うものだ、という意識を持つ方々もまだいらっしゃいます。ですので、成人した女性はボランティア活動だったり、夫や父親のビジネスを手伝ったり、稼いでいるけれど稼いで見えない仕事、自営業として稼いでいるけれど夫や父親の助力のもとで稼げている仕事などが良しとされています。

そんな旧英領カリブ海地域の女性リーダーといえば。

バルバドスのミア・モットリー首相。

彼女の記者会見を見るたびに、こんな国のトップがいたらいいなあと羨ましく思います。

トリニダードのパサード・ビセッサー前首相。

担がれて、あれよあれよという間に首相になりましたが、色々、特にお酒関係のスキャンダラスな写真が出てきて、個人的にはがっかりでした。

とはいえ、特に一昔前まで教育が重視されなかったインド系の女の子にとっては、スキャンダルが起こる前まではインド系女性のビセッサー首相は憧れの的だったのではないでしょうか。

そして、旧英領カリブ海地域の女性をとりまく問題の一つは、ありとあらゆるドメスティック・バイオレンス(DV)でしょう。家庭内暴力と訳されることが多いDVですが、「家庭」内ではないDomesticな場で暴力を受ける女性が多いので、あえてDVと書きます。

自分を振ったからガールフレンドを殺す、仕事から帰ってきても食事がまだできていなかったから殺す、自分より先に食事をしたから殺す、自分以外の男と話したから殺す、自分が死にたいから一緒に死んでもらうために殺す、自分は行っていない大学に進学を決めたから殺す、みだらな服装で外出したから殺す、、、

よくわからない理由で殺される女性のニュースが新聞の紙面を占めます。

そのような社会で殺される寸前まで心身の暴力を受け続ける女性の数を想像するだけで、胸が痛くなります。

日本からジャマイカに派遣された作業療法士が言っていたのは、

「日本では脳梗塞や脳溢血で身体が不自由になったお年寄りを対象に仕事をしていたけれど、ジャマイカに来てから、パートナーに腕や指を切り落とされた若い女性患者があまりに多く、彼女たちの目の中の絶望、恐れ、深い悲しみを見ると、自分の心がやられそうになる、」

カリブ海地域だけでなく、日本でも特にこのコロナ禍でDVが深刻な問題になっているようです。

手に職をつけ、経済的に自立し、暴力をふるう人間とは距離を置けるような、精神的にも経済的にも自立した女性の育成は重要です。

女子大学連携ネットワーク「大学のガバナンスにおける女性の参画」シンポジウムを聞きながら、書きました。