肉食が禁止されているレントの期間、魚の価格が上がります。
魚市場で買う生の魚も、スーパーマーケットの冷凍焼けしているカチンコチンの魚も、普段は鶏肉ばかり食べている人たちも魚を食べ出すので、値段が上がります。
かつてトリニダードに住んでいた頃、レントを体験しました。私自身はカトリックでないので、レントをObserveしなくてもよいのですが、周りのカトリックの友人がレント中で、周りのカトリックでない友人もレント中だと、自分もレントに参加(?)するべきなように感じて、ゆるくレントに参加していました。
わざわざ高価な時期に魚を食べなくてもよいだろうと、ベジタリアンになった方がお財布に優しいと感じました。中国系の方々の商店で豆腐を購入したり、豆カレーを作ってみたり、創意工夫でおいしい食卓になったのを覚えています。
トリニダードにおいて信条が異なるカップルの家庭では宗教的行事にどのように取り組んでいるかという研究の口頭発表を聞いたことがありますが、人々は非常に臨機応変に、対応しているようです。たとえば、明るいうちは一切飲み食いしてはいけないイスラム教の断食ラマダンも、カトリックとヒンドゥー教徒のカップルが参加していたり、イスラム教徒とヒンドゥー教徒のカップルで、イスラム教徒は参加しないのに、ヒンドゥー教徒が参加したり、している事例が発表されていました。信条とはいっても、異教徒同士でも結婚するような、特定の宗教の信徒であると認識するものの、厳格な信徒ではない事例であったことも、この臨機応変さ、ゆるさの所以なのかもしれません。
このレント期間中、ピザ屋は、肉肉しいサラミやチョリソーが載るピザを宣伝する代わりに、ツナやベジタリアンのピザを推して、カリブ海地域で「ヘルシー」な印象の植え付けに成功して人気のサブウェイなどサンドイッチ屋は、カニカマやフライド・フッシュのサンドイッチを推し、レストランも肉メニューよりも魚メニューを増やし、寿司屋は繁盛します。世界中で一番の売り上げを記録した支店を持つトリニダードのKFC(ケンタッキー・フライド・チキン)も、レント期間中はフライド・フィッシュを推します。同じように、フライド・チキン屋であるChurche’sや Royal Castleもフライド・フィッシュを推します。
レントは、魚・魚・魚な季節でもあります。